
株式会社2.5工房
株式会社2.5工房は、ペーパークラフト作品「起こし文」の企画・製造・販売をメイン事業に、パッケージ等の商業デザインにも取り組む会社です。
「コロナ禍、直接お客様とコンタクトを取れる場として産業フェアオンラインを活用し始めました」と語るのは、同社代表取締役の山岡進さま(以下、山岡さま)。起こし文の開発秘話や、今後の展望を伺いました。
昭和時代の原風景を形に。自身のインスピレーションが広がりを生んだ「起こし文」
ー貴社のメイン事業「起こし文」の開発がスタートしたきっかけは何だったのでしょうか?
山岡さま:起こし文は1998年頃に始めた事業で、江戸時代後期から明治時代頃にかけて流行った「立版古(たてばんこ)」というおもちゃ絵にインスピレーションを受けています。
「1960年代頃の、古き良き昭和の原風景を形にしたい」という想いがあり、紙をもとに表現することはできないかと考え、スタートしました。
当時、洋物のグリーティングカードは存在していたものの、和物はなかったので、やってみたら面白いのではないかと思ったんですよね。
▲絵柄が印刷された一枚の紙からパーツを切り抜き、設計図に沿って組み立て、ジオラマを完成させて楽しむ遊びを「立版古」と呼ぶ
ーユニークな試みですね!その後、「起こし文」はどのように広がっていったのでしょうか。
山岡さん:最初は自身の頭の中にあった昭和時代の街並みを、イメージとして落とし込んでいきました。
その後、実在する谷中商店街の風景などを形にしていったところ、それが雑誌に取り上げられ、だんだんと認知度が上がっていったです。
▲小学館ビックコミック連載時の綴じ込み付録として制作された、漫画「BLUE GIANT」のオリジナルポストカード
今では、オリジナルデザインの他、アニメや漫画のキャラクター、ドラマを元にしたもの、資料館、記念館、歌舞伎座......さまざまなお客様からご依頼を受け、起こし文の展開が広がっています。
土産物店に作品を置いていただくことが多く、売上の5割以上は海外のお客様が占めていますね。
▲オリジナルデザインで動物が登場しているものは、江戸時代後期に多く描かれた動物を擬人化した浮世絵「戯画」からインスピレーションを受けているのだとか
些細なディテールや書き手の文字も含め、唯一無二の芸術作品に
ーデザインするときに大事にしていることや、商品のこだわりは何ですか?
山岡さん:ただ風景を再現するのではなく、小物を使ったり、植物を配してみたり......些細なモチーフから「生活感」を感じられるようにしています。
また、過去グラフィックデザインの仕事で培ってきた経験から、組み立てたときに奥行きを感じられるようなバランスも意識していますね。
▲文字が作品と一体化し、唯一無二の趣を醸し出す
あと、起こし文はあくまでも「葉書」なので、手書きの文字が入って初めて作品になるんです。
文字は、その人にしか書けない唯一無二のもの。「恥ずかしい」という方もいらっしゃいますが、文字も含めて芸術作品になるので、「絶対に書いた方が良いよ」と伝えています。
お客様の反応がダイレクトに感じられる、台東区産業フェアの魅力
ー随所にこだわりが散りばめられている「起こし文」、本当に魅力的ですね。
自社でオンラインショップも展開されていると思いますが、産業フェアオンラインを活用し始めたきっかけは何でしたか?
山岡さん:おっしゃる通り、自社でオンラインショップを運営しています。
加えて、産業フェアオンラインにも商品を展開しています。産業フェアオンラインを活用し始めたのは、展示商談会「台東区産業フェア」に、2回ほど出展したのがきっかけです。
当時はコロナ禍。お客様との接点が少なくなっていたので、商品を直接PRできるリアルなイベントの価値を感じていたんです。
ーなるほど。「台東区産業フェア」に出展して良かったことはありましたか?
山岡さん:まず、出展費が1万円だったのが良かったです。
他社だと出展に倍以上の費用がかかるものも多いので......。あとは、作品を手に取った多くのお客様のリアルな反応が見れましたし、同業他社とのつながりができたのは嬉しかったですね。
展示スペースが広く、壁を3面ほど使って作品を販売できたのも印象に残っています。
すべて自分で作品を手がけているので、お客様といろいろなお話をして、直接反応を見れるとすごくやる気が出るんですよ。
自分で作って、自分で売る。その醍醐味にも改めて気づけました。
ーありがとうございます!今後の展望を教えてください。
▲現在構想中の、ヨーロッパの風景
山岡さん:商品ラインナップをもっと充実させたいと思っています。具体的には、日本だけでなく、海外の風景も形にしていきたいですね。
直近では、「したまちミュージアム」のミュージアムショップ内で起こし文を展開できそうなお話を頂戴していて、企画提案に参加したいと思っております。
台東v区産業フェアオンラインは、リアルイベントと組み合わせて活用するのもオススメ!
過去、展示商談会として開催された「台東区産業フェア」。
台東区産業フェアオンラインへの掲載と併せ、リアルイベントにも参加することで、より自社の商品が広まるきっかけになり活用の幅が大きく広がるのだと、山岡さんへの取材を通して実感しました。
ご協力、ありがとうございました!